文系でもわかる乳化
私たちの生活は、多くの乳化技術によって支えられているんですね。
質問6 乳化粒子の大きさってどのくらい?
私たちの生活を支える乳化粒子ですが、最近ではナノテクノロジーの研究により、乳化粒子にもナノサイズが求められるようになりました。
乳化粒子は外観(色)によって、次のように粒径をおおまかに区別することができます。
●牛乳状(白色): 1μm以上
●青みがかかった牛乳状: 100nm(0.1μm)〜1μm
●半透明: 50nm〜100nm
●透明: 50nm以下
μm、nmといってもピンとこない??方のために、身近なもので例えると下表のようになります。
mm ミリメートル |
μm マイクロメートル |
nm ナノメートル |
例 |
---|---|---|---|
1.0 | 1,000.0 | カエルの卵 |
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0.5 | 500.0 | シャープペンの芯の直径 |
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0.2 | 200.0 | ダニ |
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0.1 | 100.0 | 髪の毛の直径 |
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30.0 | スギ花粉 |
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8.0 | 赤血球 |
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2.0 | 2,000.0 | 大腸菌O-157 |
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1.2 | 1,200.0 | 乳酸菌 |
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0.4〜0.8 | 400〜800.0 | 可視光線の波長 |
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0.1 | 100.0 | インフルエンザウィルス |
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10〜150.0 | タバコの煙粒子の直径 |
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6.0 | 最大分子量のタンパク質 |
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3.0 | カーボンナノチューブの直径 |
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2.0 | DNAの直径(幅) |
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0.7 | フラーレン(C60) |
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0.5 | 水素原子の直径 |
質問7 乳化粒子はどうすれば安定するの?
乳化が奥の深い世界であり、常に研究が進められている要因として、乳化粒子の不安定さがあります。
乳化粒子は決して安定したものではありません。
中には半永久的に安定に見えるものもありますが、反対にすぐに水と油の2層に分離する不安定なものもあります。
分離の過程において、乳化粒子が互いに連結してより大きな粒子になる現象を「合一」、
界面活性剤の膜が破れ内部から抜け出す現象を「排液」と言います(専門用語です)。
≪乳化粒子の安定性要因≫ 代表的なもの
1.乳化粒子の大きさと分布
粒子径は小さいほど安定。また、粒子形の揃った乳化物が安定します。
2.分散相、連続相の比重差(差が少ないほど安定します)
比重差が大きいと分散相が沈降、あるいは浮上し、合一しやすくなります。
3.乳化物の粘度(粘度が大きいほど安定します)
粘度が大きいと乳化粒子の動きが制限され、沈降・浮上、合一しにくくなります。
4.乳化物の保存条件(温度、時間など)
低温下で保存すると乳化粒子の動きが制限され、安定します。
5.乳化粒子間の距離とその界面電位、系のpH
粒子同士がぶつかると、合一します。
一般にO/W型では、乳化粒子の表面は(−)に帯電し、互いに反発しあい、ぶつからない安定な状態になっています。
参考までに、廃水処理設備ではカチオン(+)を添加し、乳化粒子表面の電荷を中和し、粒子同士を結合させ、凝集・沈殿させます。
6.界面活性剤の選択、その濃度等
界面活性剤なら何でもよいわけではなく、必要量もあります。
乳化粒子径が小さくなれば、単位重量あたりの表面積は増えていきますので、活性剤も多く必要になります。
7.乳化時の攪拌エネルギーの与え方、そして、その大小
もちろん、プライミクスの乳化機をおすすめします(^^)
通常の攪拌機、高速回転式放射型攪拌機、高速回転剪断型攪拌機、薄膜旋回式高速攪拌機など、乳化機によっても安定性に大きな差が出てきます。
以上、「文系でもわかる乳化」をお届けしましたがいかがだったでしょうか?
へー、乳化物って身の回りにたくさんあるんだ。でもって、簡単なように見えて、奥が深いんだなー!とご理解いただければ幸いです。
Blending Science into Innovation!