Today's Notables 2010年10月

西安(Xian)の旅(1)

代表取締役社長 古市 尚


毎年恒例となりました海の日連休の食べ歩き旅行。今年は中国、西安(シーアン)に行きました。成田から上海、浦東(プートン)空港に入り、そこから国内線で西安に向うルートです。

浦東空港は2008年3月に増築された新ターミナルまでの移動を徒歩で行ったために、かなりの時間がかかりましたが、国内線に乗り継ぐまでは順調で、定刻どおりに国内線に搭乗しました。ドアも閉められ、出発準備は整っているはずなのですが、飛行機は一向に飛び立つ気配がありません。すごく分かりにくい英語のアナウンスで、出発までまだ少し時間がかかるということがなんとなく理解できました。そのうち、飲み物やお弁当が配られ始め、フライトアテンダントに聞いてもただ混んでいるので、出発の順番待ちとしか答えてくれません。刻々と時間は経ち、結局機内で待つこと3時間、やっとのことで飛び立ちました。現地には午後4時に到着のはずでしたが、既に7時を回っており、予定は大狂いです。西安に着き現地でお願いしていた旅行社の方と会い、飛行機が遅れた事情を話すと、「そんなこと慣れていますよ。大体毎日ですね。中国は空路の数十パーセントしか民間に開放していないので、上海から飛び立つ便が空路に対して多すぎて渋滞がおきてしまいます。」とのことでした。民間のことはそっちのけで、軍のために大半の空路を確保していることを知り、お国柄の違いを痛感しました。おかげでこちらは予約していたレストランにも行けず、1日を棒に振った感じでした。

西安ですが、昔は長安と呼ばれており、1928年に西安市が成立して以来、西安となりました。かつては西都、西京、大興、京兆、奉元などとも称され、古代より政治の中心地として栄えた都市です。西周から秦、漢から隋、唐の都城と十数の王朝の都として千年の歴史を有する都市だけあって、歴史的建造物があちらこちらにあります。しかし、古都でありながら整備がすごく進んでいて、中心街の道路には1本の電柱もなく、上海のような雑然とした感じとは違い、落ち着いた清潔な街の感じがしました。

旅行2日目はあの有名な兵馬俑(へいばよう)に行ってまいりました。兵馬俑の俑(よう)は人形を指す言葉で、すなわち兵隊や馬の人形という意味です。古代中国で死者を埋葬する際に副葬された人形のことを俑と呼んでいます。俑のうち、兵士と馬をかたどったものが兵馬俑というわけです。今回訪れたのは秦の始皇帝の陵墓の周辺に埋納されたものです。以前からこの周辺の農民の間では、水を枯らす化け物がいるとして、その存在は薄々知られていたようですが、1974年にこの周辺で畑を営んでいた住人が井戸を掘ろうとして偶然見つけたのがきっかけだったそうです。その発見者は現在この博物館の名誉副館長となっていて、我々が訪れた日も、売店で本を売っておられました。そして、1987年には秦の始皇帝陵の一部として、世界遺産(文化遺産)に登録されています。みなさんもテレビなどで見られたことがあると思いますが、実物を見るとその規模の大きさや俑の数の多さ、そしてその数え切れないほどの兵隊や馬の表情が一体ずつ全て違い、本当に良く出来ていることに関心、感激しました。 まだ全ては発掘されていませんが、その規模は約2万㎡におよび、3つの俑坑には戦車が100余台、陶馬が600体、武士俑が成人男性の等身大で8,000体近くあるそうです。 建造には38年かかっているそうで、これらが秦の時代(紀元前778年 - 紀元前206年)の2千年以上前に作られたことにはただただ、驚くばかりでした。
さてさて、歴史的建造物に気を取られて本来の食の話が後回しになりましたが、一般的に中国料理は東酸西辣、北鹹南淡といわれ東は酸っぱく、西は辛く、北はしょっぱく、南はあっさりというように大別されています。ここ陝西省(せんせいしょう)はどちらかと言うと四川の影響を受けていて、辛い料理も多いです。また、北は小麦文化、南は米文化と言われており、西安は典型的な小麦文化で麺と饅頭(小麦粉で作った皮類)が主食になっていて、お米は本当に少なかったです。私は今まで気候の関係で小麦とお米が分かれているのだとばかり思っていましたが、気候よりも水の関係が大きく起因していることが分かりました。陝西省は内陸で流れる川の水は南部でも必要なため、灌漑用水を引けるほど水は豊富ではなく、それがお米を作れない要因だったのです。また、陝西省はシルクロードの入り口でもあり、イスラム教徒の影響も強く受けています。というより、イスラム教の人たちが沢山住んでいます。その関係から羊を良く食べます。
西安の名物料理の一つは同盛祥というお店の「羊肉泡[食莫](ヤンローパオモー)」(最後の文字は食へんに莫という字です)。発酵させていないペッタンコの少し硬いパンと濃厚な羊肉のスープを食べる料理です。そのパンですが、カラのどんぶりに食べる人が自分でパンを細かくちぎって入れるのです。馴れない我々には大変時間がかかり、「もっとええ方法ないんかいなぁ」と思わせる、大変な作業でしたが、その分食べる楽しみもひとしおでした。パンちぎりが完了するとお店の人が印の付いたお皿に丼を乗せて厨房まで行って、羊のスープを入れてきてくれます。元々、私は羊が好きではないので、お味についてはあまり感激はしませんでしたが、地元に大人気の羊のスープがけちぎりパンを食べられたことには満足しました。(11月号へつづく)
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