Today's Notables 2005年10月
経営品質改善への取り組み
代表取締役社長 古市 尚
先日初めてのセルフアセスメント(自己評価)を、日本経営品質賞のガイドラインに沿って施行してみた。満点は1,000点であるが、206点という惨憺たる結果であった。外部の方からは「審査基準が厳しすぎるのではないですか」というような暖かいお言葉をいただいたが、点数以上に、なるほど随所にまだまだ未熟なところが見られると痛感した。中でも「経営における社会的責任」のうち、「社会要請への対応」のカテゴリーでは、その観点に立った活動が未着手の状況である。20数年前に祖父が大阪市に身体障害者の施設を寄付したり、小口の寄付などは毎年行ってはいるが、会社としてどのような方向性で、どのような社会貢献を行っていくということが明確にされていない。その他にもセルフアセスメントをしてみて、「気付き」が随所に表れる。
一つの傾向としては、組織や会議体さえ作れば課題解決になると思いがちなところがある。何か問題が起こるとプロジェクトや対策室を立ち上げるのはいいのだが、プロジェクト名や人選が決まった時点で、「やれやれ、これでどうにかなるだろう」的な感覚が否めない。勿論、優秀な人間が任命に基づいて試行錯誤し、課題改善には向かうのだが、それではその人間の能力に頼りすぎで、人によっては結果が変わってしまう。また、何を基準にどの程度改善されたかの判断が感覚的なものになりがちである。
これらの現象は当社のように社歴の長いところに起こりがちで、「そんなん言わんでも分かっとるやろ」的な暗黙知の思考形態が染み付いてしまっている。これらが衰退期に起こる典型的な現象であって、これに部署間や職種からの「遠慮」が付け加えられるとお客様にご迷惑をかける問題が表面化してくる。そのようになる前に、ナレッジの共有化や形式知の考え方を定着させ、会議体、プロジェクト、対策室などにおいても、その目標、目的を定め、どのような指標をもって進捗度合いを判断するのか、どのような状態になればゴールなのかを事前に整理し、明解にすることが重要である。また、そのためには業務プロセス上の問題点(支援プロセス)の把握なども重要なファクターとなる。しかしながらすべてレールがあり、ゴールがあれば走れるわけではない。何よりも大切なことはモチベーションであり、各人のやる気次第で結果は大いに変化してくる。もっとさかのぼると、やる気が出せる風土を作れる、経営幹部のリーダーシップが必要である。
現在の中期経営計画も残すところ2ヵ月となり、次期中期計画ではセルフアセスメントで得た改善課題を中心に、当社のあるべき姿に向けたビジョンと戦略をもって、やる気に満ち溢れた企業風土作りに傾注する所存である。
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