Today's Notables 2004年09月

断食道場体験記(2)

代表取締役社長 古市 尚


カーナビ上にはあるのだが、実際の道は通行止めであったり、ゴルフ場の私有地で通れなかったりと、グルグル回ってやっとの思いでヒポクラティック・サナトリウムに到着した。

夕方の5時にチェックイン。一通りの説明があった後、部屋に入る。当初の想像ではお医者さんが問診をして、健康状態や服用している薬などをチェックするものだと思っていたが、受付の女の子が食事の時間(食事らしい食事はないが)や食堂の場所、お風呂の場所などを説明するだけで、普通の宿とほとんど変わらない。唯一違うのは断食することは自分の意志でやるというような内容の書類にサインすることだけである。私達が入った部屋は今年の2月に増築されたばかりの新館で、ホテルのようにしっかりとした建物ではないが、新しく綺麗ではあった。その日の晩からいや、正確に言うとチェックインした時点から断食は始まっており、夕食はニンジンジュースが3杯であった。ニンジンジュースといっしょに自由に食べられるのが、梅干、カットレモンと黒糖である。1日のメニューは以下の通り。

08:00 ニンジンジュース3杯
10:00 具のない味噌汁
15:00 生姜湯
17:45 ニンジンジュース3杯
※部屋にはお茶と生姜湯がポットに入れて置いてあり、飲み放題。外出の際は生姜湯をポットに入れてくれる。

石原先生いわく、人間の周期の基本は「7」になっているそうだ。女性の生理、妊娠の期間など生命の誕生時から既にその周期は始まり、生を受けると一週間という単位で生活する。従って、断食期間も7日間とすることを推奨されている。7日間断食をすることによって、排泄を即し、悪いものを完全に体外に出してしまうのが狙いだ。我々は10日間も休みが取れないので、3.5日間の断食を行ったが、期間も特に規定はなく自分達で自由に決めることができる。どうして3.5日になるかといえば、断食の後には「補食」と呼ばれる徐々に通常食に戻す食事が必要となる。補食は重湯1日→お粥1日→玄米食1日の順で、正食といわれる普通食に戻れるように胃腸を慣らす期間が必要である。従って、7日間の断食をするのであればトータル10日間の入所が必要になるわけである。 入所者の中には「3日目から下痢が止まらない」とか「汗やおしっこがすごく臭い」はたまた「口内炎が出来た」などと話しているのをよく耳にした。我々の場合悪いものがそもそもなかったのか、身体が悪いものだけで出来ているのか、宿便が出るでもなく、汗が臭うでもなく、何事も起こらなかった。いかに悪いものを蓄積しているかは舌の色に表れるようで、どす黒い人、濃い紫色になっている人など様々である。さすがに我々も舌の色は普段見ないような濃い紫色になっていた。

断食自体はそんなに大変なことではなかった。空腹感もずっと続くわけでもないし、お腹が減ったらお茶や生姜湯を飲んでいれば、紛らわせることができる。逆に、食べないでゴルフをしたりしても全く支障がなく、身体も軽く感じられた。今まで一生懸命一日何回も食べていたのがなんだったんだろうとさえ感じるようになっていた。 しかし、重湯、お粥、正食に戻っていく時は、全ての五感が研ぎ澄まされたようになり、香り、食感、温度、塩味、苦味、辛味、甘味、うま味それぞれが確実に舌から脳へと伝達されるのを感じた。まさにリ・フレッシュしたとはこのことだと思った。

期間中体重は2kgしか減らなかったが、今までに経験したことのないリフレッシュ感を味わうことができた。皆さんも是非、食べ過ぎ、肥満には注意し、体温を下げないような食生活をされることをお勧めする。もし、ヒポクラティック・サナトリウムに行かれるのであれば、毎週日曜日の朝8:30からは石原先生の講義が2時間ほど行われ、宿泊者は自由にその講義を聞けるようになっているので、それに合わせて行かれることをお勧めする。
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