Today's Notables 2004年08月
断食道場体験記(1)
代表取締役社長 古市 尚
医学博士の石原 結實(いしはら ゆうみ)先生は長崎大学医学部で血液内科を専攻され、長崎大学大学院医学研究科博士課程にて、スポーツ医学と栄養学の両面から白血球の働きを研究し医学博士になられた。また、長寿地域として有名なグルジア共和国のコーカサス地方やスイスのB・ベンナー病院などでの自然療法の研究をされた後、イシハラクリニックを開院、1985年には伊豆にヒポクラティック・サナトリウムという保養所を開設された。万病の原因は「体の冷え」と「血の汚れ」であることを喝破している石原先生のもとには、その理論に共鳴し、難病をかかえた多数の人々が訪れ救われていると共に、政治家などが静養に訪れることでも有名である。私はたいした下調べもせずにヒポクラティック・サナトリウムに行ったのだが、現地で石原先生の講義を聞くと、次のような持論の上で保養所を運営されていることを知った。
「人類200万年の歴史で、今日ほど飽食の時代はない。私たちの祖先はこれまで氷河期、大雪、ひでり、飢餓、戦争など飢えの時は過ごしてきた経験があり、飢えに対する生命維持力は備わっているが、過食に対する処理能力は欠けている。過食によって糖尿病、癌、アトピーなどといった様々な病気に悩まされるようになってきた。日本国内ではこの30年間に医者の数が10万人から25万人に増え、今では国家予算の1/3以上に当たる年間30兆円の医療費を費やしているが、病人の数は年々増え続けている。癌を例に取ると30年前は癌による死亡者が年間13万人だったのに、昨年は30万人以上の人が癌で亡くなっている。即ち、食物の過剰摂取が排泄を抑えてしまい、血液の循環を悪くし、自然治癒力を低下させているのが原因である。ロシアなどは断食療法科がないと病院が開院できないほどで、自然治癒力を高めるためには断食が効果的である。また、通常の生活においては身体を冷やさないようにすることが健康を維持する秘訣である。」
施設の名称であるヒポクラティック・サナトリウムというのは何とも難解な名前であるが、これにも石原先生の思いが込められており、「病気は食事療法と運動によって治療できる」ことを主張した医聖ヒポクラテスの名に因んでおり、サナトはフランス語で健康のことをSante、riumは館という意味であるところから、ヒポクラティック・サナトリウムと名付けたらしい。場所は伊東市であるが、伊東駅からは車で30分以上かかるうえ、別荘地の中にありゴルフ場とも隣接しているので非常に分かりにくく、現地にスムーズに到達するには入念な下調べが必要である。
私は持病という持病は抱えていないが、大学時代にはスポーツに明け暮れ、筋肉質の53kgであった体重がエフ・エム・アイに入社後、半年で10kg増え、その後年を重ねるとごとに増え続け、昨年の6月にはウエスト98cm、体重90kgに到達していた。昨年の4月頃、いとこである糖尿病の専門医に診てもらった際に、「インシュリンが出やすい体質なので、糖尿病そのものにはなりにくいが、血がドロドロでいつ動脈硬化を起こしてもおかしくない」と脅された。実際、コレステロール値や尿酸値は高めであることから、いとこの医者に脅されて以来、独自で食事療法に取り組み10kg減まで漕ぎ着けたが、そんな時にヒポクラティック・サナトリウムの話を人伝に母親から聞いた。以前からなんとなく断食には興味があったが、じっとしていることが好きではないので、ただひたすら断食をしているだけでは気が狂ってしまうのではないかと思い食指が伸びなかった。断食道場なので勿論アルコールはご法度だろうし、タバコも吸いにくいだろう。軟禁状態で禁酒、禁煙、禁○となると牢屋より厳しい感じさえある。
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