Today's Notables 2003年02月

MIT訪問に向けて

代表取締役社長 古市 尚


2003年2月6日、7日に当社乳化分散技術研究所長の麻とMassachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学、通称MIT)を訪問することが決まった。 もうご存知の方も多いと思うが、当社の薄膜旋回型高速ミキサー、T.K.フィルミックスは昨年も全国発明表彰「日本弁理士会会長賞」を受賞するなど、お陰さまで国内では様々な分野で高い評価を受けているが、改めて工学界で世界的権威のあるMITと産学協同研究プロジェクトを行うことでT.K.フィルミックスにおける攪拌理論の確立が可能と考えている。 実は私自身がMITと産学協同研究プロジェクトに関わるのは初めてではなく、前回のネットワークを通じて今回は化学工学のDalzell教授を紹介いただき、彼の研究室にT.K.フィルミックスを設置して、研究を開始してもらうこととなった。

前回は当社の関連会社FMIの関係でアメリカ製超高速オーブンを開発したベンチャー企業がMITにそのオーブンの分析と熱伝導理論の構築を依頼したケースだった。当時そのベンチャー企業の社長は世界的に有名なコンサルティング会社アーサー・ディー・リトルで20年間コンサルタントを務めたMIT出身の非常に優秀なリック・キャロンというひとで、彼の技術系バックグラウンドとマーケティング能力は抜群で、年収数億円でヘッドハントされたのも納得できる。一方私は日本におけるそのオーブンのマーケティングを担当していたが、リックとの幾度ものミーティングで学ぶべきところが非常に多かったことを記憶している。私がこの会社に来てT.K.フィルミックスを見たときに、前出の超高速オーブンとイメージが重複した。共通の特徴は処理物にエネルギーをかけるのに、従来の方法と全く違うアプローチを持つことである。両者とも処理物にかけるエネルギーが従来の方法に比べて格段に高いため、大きいメリットを生み出せる半面、デメリットも伴う。しかし、様々な角度からテストや検証を繰り返すことで、その効用が発見されるはずである。その時にリックは原理と理論を解明することで、お客様がその効用を発見するときの近道になると言う理由でMITにそれらを依頼した。

私はことあるごとに社内で「お客様が価値を認め購入するものは機械(製品)ではなく、その機械やサービスが提供する効用である」と言っているが、私どもがフィールドとしている攪拌、微粒化、分散など分野はお客様の業界が多岐にわたり、高等な知識と技術を駆使されている企業が殆どなので、各業界に亘りその効用までを当社で開発することは不可能である。しかし、私どもの機械についてその原理と理論を明確にしていけば、お客様がその効用を開発していただける近道になると確信し今回のMITとの産学協同研究プロジェクトを積極的に推進することにした。

MITは1865年に設立され、現在は全米大学ランキングでエンジニアリング、コンピューターサイエンス、バイオ、経済学、数学の5学部が全米1位とされている。それを裏付けるように、連邦政府からの研究費も年間600百万ドル(約7億5千万円)がMITに拠出されており、民間企業からも年間70万ドル(約8千7百万円)が支払われている。今回お願いした Dalzell教授は1965年にMITの化学工学部で博士課程を修了された後、ポラロイドで研究者として務められ、いくつもの特許を取得されている。経歴を見ていると最後にこの5年間の活動の中に、ベルリッツで日本語を習っているとあったので、今回お会いすることを非常に楽しみにしている。Dalzell教授もきっと習った日本語がどの程度通じるか、てぐすねを引いて待っておられるに違いない。

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