Today's Notables 2002年06月
上海出張記(2)
代表取締役社長 古市 尚
翌朝は8時に迎えに来てもらい、挨拶回りと工場見学を始めた。昨夜の車の少なさは嘘のようで、見渡す限り人と車という感じで街は活気に溢れていた。運転手は若く決しておとなしい運転をする人ではなかったが、とにかく車が優先のようだ。同じ道に人、自転車、バイク、自動車がわんさと走り平面交差するわけだが、大きい方から優先順位があるようで、横断歩道に人が渡っていても、クラクションを鳴らしまくり、いかにも「お車様のお通りだい!」といわんばかりに走るのである。高速道路でも人が時々横断しており、事故があちらこちらで起こっていた。
見るもの全てが新鮮で、道中同行していただいた方に、次から次に質問を浴びせかけた。私がまず気になったのは車であるが、フォルクスワーゲンが多いというより、乗用車の70%ぐらいはVWのサンタナだった。その他、VWパサートやアウディも見かけたが、国内産の車種がまだ少ないそうで、バリエーションは非常に少なかった。輸入車もたまに見かけたが、輸入税の関係もあり日本で買う倍ほどの値段がするらしい。最近では台湾系企業の進出(台湾は特に優遇措置を受けている)が著しく、ベンツやセルシオなどを乗っている人は台湾系の人が多いらしい。日本価格の倍となるとセルシオも1600万円ぐらいするわけで、ベンツのSクラスだと日本でロールスロイスを乗るようなものだと思いながらみていた。最近では一般人(タクシーなど営業車でなく)が自動車を買うようになってきたので、急速に車の台数が増えてきたとのことだった。ゴルフ場は上海近郊だけで18箇所あるらしいが、こちらも会員権は1000〜1500万円するというので、現地の人でやっている人はごく少ない。タクシーなどにゴルフバッグを持って乗るとすごく不思議がるようで、耳掻きのお化けみたいなのは何だと聞かれることが多いという。
お金であるが1元は日本円で約16円であるが、感覚的には1元100円の感覚を持っているといいようだ。それでは16円で計算すると何でも安いのかと思うとそうでもない。前述の自動車やゴルフ会員権もそうだが、そのような贅沢品以外でも理解に苦しむものもある。建設中の3階建てのあまり高級そうでないアパートがあったので、値段を聞いてみたら16円換算で700万円〜1000万円という。広さ的には150平米はありそうだったがそれにしても高い。アメリカの地方都市だと100坪ほどの敷地で中古の家だと大体1000万円ぐらいで買えるので、上海の700万円はかなり高く感じた。もちろん、土地の所有権はなく、日本の借地権と同じように30年ぐらいの使用権を取るらしい。
大卒の初任給は2万円ほどだが、経済の激しい発達のせいもあり、コンピューター系のシステムエンジニアなどは若くしてもかなりの高給をとっているそうだ。また、1社に長く勤めるよりは、ステップアップを目論んで職を転々と変える人が大変多いという話だった。従って、同じ会社でも給与は個人々まちまちで、平均的給与を聞かれると回答に困るといわれた。(つづく)
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