社報shinko〜親交〜 2010年05月号

AABC Europe 2010 出張報告

電池デバイス対策部 PEACE テクニカル・ディレクター 大畠 積

自動車用電池の国際会議のAABC(Advanced Automotive Battery Conference)の欧州初開催に参加しました。前日までの3日間、欧州の有力自動車メーカーの関係企業へ、当社の電池電極材スラリーの革新的連続製造プロセスであるCDMプロセスのプレゼンや導入展開の推進を行い、2010年2月3日にフランクフルト市の隣のマインツ市の会議センターにて開催のAABC Europe 2010に入りました。

今年の欧州は寒さが厳しいらしく、上空からの景色は白い部分が目立ち日本の裏日本的な気候です。会場はライン川(写真)の川沿いにある古い建物に囲まれた中規模の会議場でした。私はAABCとの関りは米国開催と合わせて3回目になり、特に今年は具体的な地球環境への取り組みが高まっていることもあり、今まで認識が遠かった欧州の状況を知るうえで興味深かったです。今回の参加者は600人で昨年度の米国開催の半分ですが、参加国数は31カ国に上り、前回前々回の24、23カ国に比較して多いです。参加者の割合はドイツ:37%、アメリカ:15%、フランス:5%、日本:5%、UK:5%、オーストリア:3%、韓国:2%、イタリア:2%、その他:26%と広く関心を集めていることがわかります。日本からの参加者は材料、資材メーカーの現地駐在員が目立ち、昨今の厳しい経済状況を反映するものでありました。日本出展企業では素材、製造装置関係が数社でした。

発表の内容では、アジアでは韓国三社の積極的な電池事業展開が目立ちました。関係報道の通りですが、電池のコストダウンへの具体的な取り組みが詳細に説明されていたのは昨年までと異なります。米国系企業の発表では、生産技術に対する認識の差か、コストへの言及がありませんでした。欧州系は有力自動車メーカーがすべて発表。電池を外部調達する企業とグループ内で電池事業も計画する企業のコスト、ディリバリーに関する点で違いが際立つ内容でした。自動車メーカーも、将来的には何らかの形で内部調達と並行し複数購買する姿が伺えました。日系調査企業発表によると、2012年の売り上げ予測企業でA123、LG Chem、PEVE、BYD、Li-Energy、Hitachi、JCS、AESC、Lishen、Blue Energy、SB Limotive、SK Energy、Li techが有力と紹介されていました。日本の有力実績電池メーカーがなく、私が懸念する弱い新技術投資、設備投資を裏付けるものでした。

今回のAABCでも、すでに自動車用電池の事業は国際競争状態に入っていることを認識しました。今後の注目点は、当社も提案する優れたものづくりの生産技術であります。この5月米国開催のAABCでは新たに生産技術セッションが設けられ、当社のCDMプロセスの発表を行う予定です。

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