Today's Notables 2003年03月
MIT訪問記(1)
代表取締役社長 古市 尚
前号でお伝えしたようにマサチューセッツ工科大学(MIT)との共同研究プロジェクトのスタートにあたり、MITを訪れた。
MITが位置するボストンはアメリカの中では歴史のある古い都市で、アメリカの中でも最も道路が複雑とされている。それに加え、Big Digプロジェクトが進行中で、まさしくその名(Big-大きく Dig-掘る)の通り、あちらこちらで大胆に掘り返している。Big Digプロジェクトは主要幹線道を地下に潜らせる計画で1993年にスタートし、当初2001年に完成するはずだったが、現在では完成が2005年とされている。しかし、ボストンの人はプロジェクトが4年も延びたことで「あれはいつになっても完成しないだろうと」冗談めかして言う人が多い。その道路工事のお陰で地図を持っていても、閉鎖、迂回、一方通行が多く、目的の場所に到達するのは至難の業である。また、通りの名称が書いてないことが多いのもボストン特有である。聞いてみるとこれは工事のせいではなく、大きい通りの名前はボストン人だったら知っていて当然とのことで、どうもボストン人の意地みたいなところらしい。道路工事のお陰で交通渋滞も激しく、ボストンの交通事情は東京よりも悪い。しかし、道路工事を除けば街の中心にはチャールズ川という大きな川が流れ、1900年代前半に建てられたレンガ作りの3階建ての住居が多く、緑も豊富にあり、なかなか環境のいいところである。
MITのキャンパスはチャールズ川のほとりに、幅500m長さ2kmにわたって数十の校舎が点在する。校舎と校舎の間は一般道が走っているので、結局は何処までが学校であるかはよく分からない。我々が宿泊したマリオットホテルはその一角にあり、その位置もほぼ学校の中といえるところであった。
朝9時半にお目当てのダルゼル教授がホテルのロビーまで迎えに来てくれた。日本人二人でいたのですぐに分かったのか、「コンニチワ」と言って近づいてきた。初老で身長が高く、痩せているがやさしそうな人柄だ。自己紹介の後、直ぐに教授の研究室のある校舎へと向かった。ホテルより徒歩5分程度でRalph Landauビルという校舎にたどり着き、実験室はその校舎の地下にあったが、1年半前に改装したということで、素晴らしく整備されていた。1部屋の中に可動式のユニットでしきった5m×4mの区画が6区画あり、どこからでも電源、チラー水、水、お湯、ガスなどのエネルギー源が取れるよう工夫されている他、シンクや実験器具なども揃っている。また、MITでは全ての校舎内は無線LANが使えるようになっていた。(4月号へつづく)
写真:マサチューセッツ工科大学(MIT)の正面
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