Today's Notables 2016年05月

ベトナム・カンボジア視察記 その1

代表取締役社長 古市 尚


2月21日〜27日の日程で、関西経済同友会の海外交流ミッションに参加しました。海外交流委員会の委員長を務められる鴻池運輸 代表取締役社長、鴻池忠彦氏を団長とし、10名が参加しました。訪問都市はベトナム(ホーチミン)とカンボジア(プノンペン)です。ホーチミンは2009年2月に訪問したことがありますので、ちょうど7年ぶりの訪問となりました。カンボジアは今回の訪問が初めてで、ミッション参加の動機もカンボジアに行けることにありました。連日、分刻みのスケジュールが組まれ、慌ただしくはありましたが非常に内容の濃い視察ミッションでした。ホーチミンでは商工会議所、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)などの団体を訪問し、市場動向や経済の実態を聞かせていただき、政府開発援助(ODA)の取り組みを工事現場まで視察させてもらいました。

JETROホーチミン事務所 ホーチミンでの第一印象は7年前より自家用車は増えているものの、依然バイクの量が圧倒的に多く、乗用車はほとんどがタクシーです。バイクは国内に4千万台あるらしく、人口は8,971万人ですので人口対比で44%の人がバイクを所有していることになります。GDPは昨年比6.68%の上昇しており平均賃金は29,300円で前年より8%上昇しています。また、平均年齢は29.2才(ちなみに日本は46.1才)でその63%が30歳以下となっています。2020年までに日本の人口は200万人減少するとされていますが、ベトナムは800万人増加するとされていて、ベトナムの人口が日本の人口を追い越す日もそう遠くないでしょう。インドシナ半島でお箸を使うのはベトナムだけだそうで、ベトナムの文化は中国に起源することを表しています。昔は漢字も使っていたそうで、日本文化に通じるところもあります。
メトロ1号高架 現在、ホーチミンでは日本のODA(円借款:約2,400億円)で地下鉄1号線を建設中です。マスタープランではホーチミンの中心から6つの路線が計画されていますが、建設に着手できているのは、日本主導の1号線だけです。1号線の全長は19.7kmで、地下鉄と呼んでいますが地下を走るのはわずか2.2kmだけで残りは高架になっています。工事は住友商事が受注し、システムは日立製作所、地下部分の工事は清水建設、前田建設の共同企業体(JV)が担当していました。高架部分は地下鉄1号線が建設される郊外寄りのところに大きな敷地を確保し、フランスの会社が特許を持っているユニット方式で鉄筋の組み上げ、型枠にコンクリートを流し込む作業などユニット化されたシステムを利用し、流れ作業で次々と効率よく生産しています。地下部分の起点駅は築100年以上のオペラハウスと隣接したところに作られます。現地の100年以上前の建物は地盤まで入っている基礎がないので、周辺の建築物の地盤に影響を与えないよう工事が進められていました。建物地盤が沈む最大許容範囲は2cmまでらしく、その誤差の中で問題なく掘削していたのはさすがに日本のゼネコンだと感心しました。
VJCC 次にホーチミンで印象に残ったのはベトナム・日本人材協力センター(VJCC)の訪問とそこで開催している経営塾出身者との交流会です。ベトナムでは民間企業が許可されるようになったのがわずか20年前で、それまでは国営企業か農家、個人事業主しかいませんでした。従って現在のサラリーマンは第一世代で親もサラリーマンだったという人はいません。経営者はいるけれど中間管理職の人材に苦慮しているのが実態で、30代で部長クラスの人も少なくありません。その様な背景からVJCCでは人材育成教育を行っています。経営者塾では経営者を対象に10カ月のコースがあり、それには日本での研修も含まれています。その他、ビジネスコースと呼ばれる3日間の管理者向けコースや日本語を学ぶ語学コースも開講しています。当日は経営者塾出身の企業家20名が参加し、お互いのビジネスを紹介した後に、レストランに場所を移して懇親会を行いました。みなさん日本企業には興味津々で積極的な発言や意見交換を行い非常に中身の濃い交流会でした。(次号カンボジア編へと続く)

写真1:JETROホーチミン事務所
写真2:メトロ1号高架
写真3:VJCC
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