Today's Notables 2007年10月

イタリア視察(1)

代表取締役社長 古市 尚


朝日新聞が運営するウェブニュースasahi.comの2007年7月18日付けの記事に 「『食の大学院』関西に設立構想、経済産業局が主導 和食の本場関西に日本食を総合的に研究する『食の大学院』を作ろう――。」 というタイトルの記事が掲載された。内容は近畿経済産業局企画課、細川洋一課長補佐の話として「欧米には自国料理を専門的に研究する大学院がある。日本料理の奥深さを、関西から世界に発信したい」というコメントと共に、日本食の歴史や献立などを文化として研究する機能の両方を備えた大学院を、早ければ2010年にも設立する計画であると書かれていた。

話は遡るが、私は当社の関連会社であるエフ・エム・アイ在籍時代に、アメリカでレストラン経営学や料理学を学ぶ機会に恵まれ、帰国後も食に関連する仕事が大半であった。食のフィールドで仕事をしていて感じることは、日本は海外と比較すると食ビジネスに関する人材層が格段に薄いことである。この現象は食を取り巻く教育体制が整っていないことに起因していることが容易に推察できる。アメリカでは4年制大学の経営学部にホテルレストラン経営学科が設置されているのは約400校。短大まで合わせれば600校以上といわれている。因みに日本国内の大学の総数は686(平成14年、文部科学省調べ)で、国内ではホテルレストラン経営を学部や学科として独立させている学校は未だに存在していない。また、アメリカではシェフスクールの延長で料理学として大学卒の学位が取得できるところも既に100校以上あるとされている。それ以外には農学部と分かれてフードサイエンスという学部を持っているところも多い。そのような背景から私はことある毎に、日本にもそのような学部や学科を設置すべきだと唱えてきた。
その思いが叶ったのか、先に紹介したニュース記事の話が私のところへも協力依頼として回ってきた。当初は私がアメリカの食関連学校のことに詳しいということで話を聞かせて欲しいというレベルだったが、その経験を生かしてイタリアにある「食の大学院」を一緒に見に行ってくれないかという依頼に変わっていった。まぁ、お国のため地元のためになるならいいかということで、当社の役員にも理解を得て3泊5日の強行軍で、イタリアはトリノ郊外のブラという小さな町まで行くことになった。ドイツには数回、イタリアもミラノにはエフ・エム・アイの提携会社があり以前に訪れたことはあるが、トリノは初めてだった。

空港に降りたつや否や、早々にレンタカーを借りてブラに向かうことにした。レンタカーの受付は非常にのんびりしており、アメリカでさえもすべてのことに時間がかかってイライラするのに、それ以上にのんびりしていることはすぐに察しがつく。手続きに時間がかかったので、聞くべきことを聞くのも忘れレンタカーで出発した。出発してから気付いたのだが、はてどちらに向かって走っていいものやらとんと分からず、まだ空港の敷地内なのに早々にガソリンスタンドで道を聞く羽目になった。今回、同行させていただいたシンクタンクで「食の大学院」の研究をされている方も、アメリカに在住されていた経験があり、私と同じくアメリカ的感覚で、標識などですぐに分かると思われたのだが、標識は読めず、ガソリンスタンドで道を聞いた人も本人は英語を話しているつもりなのかもしれないが、ほとんどイタリア語でいきなりの言葉の壁にカウンターパンチをくらったような思いがした。結局は野生の感を頼りに根性でほとんど迷わずにホテルに着いたが、我ながら初めての地でよくたどり着けたと感心せずにはいられなかった。

トリノ都市圏の人口は約170万人でイタリアでは第4位の都市ということだが、あまり大都市として活気は感じられない。イタリアは個人所有の建物も含め、歴史的建造物に対する規制が厳しく、そう簡単に壊して新しい建物に立て替えるということができないために、我々のような物見遊山で来ている人間にはその町並みが実に素晴らしく映る。道も石畳になっているところが多く、車道でも建物の中を走るような風景も珍しくない。トリノという名前はなんか聞き覚えがあるなぁと思っていたら、昨年の冬季オリンピック開催地であり、荒川静香選手が金メダルを獲得したことを現地に着いてから思い出した。(11月号へつづく)


古きよき町並み

日本では見かけなくなったがイタリアでは三輪車がまだ活躍中

400年の歴史があるカフェ「カフェ・トリノ」
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