Today's Notables 2006年03月

どうすれば脳は動くのか

代表取締役社長 古市 尚


NHKで新しい番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」がはじまった。前身の「プロジェクトX」では過去の業績にスポットをあてていたが、「プロフェッショナル」は、今と未来を描くドキュメンタリーと言う触れ込みである。NHKのホームページによると、『現在進行形だからこそ、現場発の「仕事に役立つ情報」と、視聴者のみなさんが「自分も頑張ろう」と思えるような「明日への元気」をお届けします。』と書いてあった。その第一回に登場されたのが星野リゾートの星野佳路社長である。

星野社長には何度もお会いしたことがあるので番組は大変興味深かった。親から引き継いだ温泉旅館を、ブライダルやピッキオという動植物の生態を教えてくれるインストラクターの育成などで業績を伸ばし、現在は業績不振で倒産に追い込まれたリゾートや老舗旅館の再生でも注目を浴びている。先日の番組では老舗旅館の再生を取り上げられていたが、それ以外にも小淵沢リゾナーレ、磐梯リゾート、アルファトマムなどの大型リゾートを買収されて見事に再建されている。星野リゾートの本拠地は軽井沢であり、現社長の先々代が約100年前に星野温泉を開業された。先代の時代は高度成長期もあいまって、受け継いだものを堅実にやっていれば何とかやっていけた時代であるが、現社長の時代にはそうではなくなって来ていた。

私が最初に星野社長にお会いしたのはもう7年程前になるが、すごいと感心したのは、マーケティング力であった。まさに市場創造の達人であり、売上のないところに売上を創ってしまうのである。業務内容を聞いていて、これこそがマーケティングと言うものだなと実感したことを覚えている。家族連れしか来ないような温泉旅館にもっと人を呼びたければ、魅力的な結婚式が挙げられる仕組みを作る。冬の軽井沢はほとんどのお店が閉店し、温泉だけで魅力がなければ、お客様がわざわざ来ても価値のあるピッキオの仕組みを創る。弱みを強みに変えてしまうだけの発想と行動力があるのだ。

番組では特にどうやって社員にモチベーションを喚起させるかにフォーカスを当てていたが、まず、星野社長はコンセプトを大事にされている。番組の中でも現場に携わる人達にコンセプトを考えさせ、作らせていた。「主人公は社員」「決めるのは社員」という経営方針である。星野社長はコンセプトに正解はないが、顧客の目線でより共感を覚えるものにするべきだと主張する。我々の企業に置き換えて見ればコンセプトは企業理念であり、なりたい会社像なわけで、やはりそれがはっきりしないとモチベーションも上がらない。 最後に司会の脳科学者である茂木健一郎氏はモチベーションに関して、脳は嬉しさで動くと言われていたが、自分達が決め、自分達が主人公になると上手く行った時には喜びもあり、嬉しさもある。そして脳はもっと活発に動くということであろう。


昨年オープンの軽井沢「星のや」
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